ハリクラフターズ SX-99 レストア記   
Takafumi Ueno
English Translation

 

SX-99は長い間、あこがれていた夢だった。子供の頃、短波受信機をつくるときにSx-99を参考にしたものだった。また、フロントパネロデザインは非常に魅力的だった。長い年月が経ち、最近、私は、短波受信機をレストアすることにした。もちろ一番最初にSx-99を購入した。以下、私のレストアとSX-99に関する本を紹介する。

レストア

SX-99が我が家にとどいたとき、動作していた。しかしいくつかの問題があることに気がついた。

1) まず、最初にシャーシを注意深くふいてきれいにし、シャーシ裏とくにキャパシタをチェックした。ワックスペーパーキャパシタ、モールドペーパーキャパシタ(ブラックビューティ)はオリジナルのように見えた。電源をいれると、ワックスペーパーキャパシタのいくつかには温度上昇が見られ、表面が少し溶けかかっていた。また、受信機が動作中にワックスくさいにおいがした。更にブラックビューティのいくつかにはヘアラインクラックが発生していた。これらのキャパシタの寿命はそうながくないように思えたので、安全のために、すべてのワックスペーパーキャパシタ、ブラックビューティをリキャップすることにした。

2) キャビネットは腐食によって錆が発生していた。大切なSX-99をもっと美しくしたかったのでもとの塗装をはがして再塗装することにした。

リキャッピング

リキャッピングを開始した。次の写真では、大半のキャパシタがオリジナルのワックスペーパーキャパシタ、ブラックビューティである。

次の写真では、ワックスペーパーキャパシタの表面が溶けかかっている様子がわかる。

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ワックスペーパーキャパシタ、ブラックビューティをセラミック/ポリプロピレン/ポリエステル(マイラ)キャパシタに置き換えた。次の写真はリキャッピング後のシャーシ裏を示している。また、オリジナルの電解キャパシタのいくつかを新しいものに交換した。

 

 

SX-99キャビネットの再塗装

SX-99キャビネットを再塗装するために最初にはったことは、オリジナルの塗装をはがすことである。腐食や錆があるとスムーズに再塗装することができない。この目的のために、ジオエンピロのEGR-Eを用いた。これは非常にすばらしい。塗装をはがしたあと、つや消し黒でスプレー塗装した。次の写真はSX-99キャビネット、EGR-E、つや消し黒スプレーを示す。

 

再調整とテスト

この受信機は105-125V用に設計されている。日本では電源電圧は100Vである。我が家では、電源電圧は100-104Vである。104Vでは受信可能であったが、100Vではほとんど受信できなかった。もう1つの問題は100-104VではSメータが0調整できないことであった。そのため、私は100Vから120Vに昇圧するトランスを使用することにした。

120Vでは問題はなかった。感度は十分高くSメータは動作した。私は、ダイアルの周波数精度をチェックした。バンド1−3は問題なかったが、バンド4では誤差が大きかったので再調整を行った。再調整後、SX-99のパフォーマンスとスタンダード(ヤエス)のVR-5000とを比較した。SX-99の感度は十分高くVR-5000と同程度である。このSX-99S/N比は非常によく静かである。周波数安定度はVR-5000ほどよくないが許容限度内である。1955-1958に製造された受信機が現代の受信機同様によく動作することに非常に驚いている。現代の受信機は操作特に同調が容易であるが、SX-99の主ダイアルとスプレッドダイアルの組み合わせもスムーズである。

SX-99の本

次の写真の右側には日本放送出版協会が1962年に発行した”アマチュア用通信形受信機の製作”がおいてある。表紙はSX-99である。Sx-99のハーフムーンスタイルは非常に魅力的で印象に残っている。

 

 

私は、このSx-99に非常に満足しており楽しんでいる。

質問、コメントのある方は、次のアドレスにメールをお送りください。 uenot@kcn.ne.jp

 

Takafumi Ueno

This page last updated 28 Apr 2002.